ほかにも卵巣嚢腫にはさまざまな種類があり、代表的なものを紹介します。
皮様嚢腫は、皮膚から発生した成分(毛髪、歯、脂肪など)が卵巣内に貯留する病気です。20〜30代に多く、まれに10代の患者もいます。痛みなどの自覚症状はほとんどなく、基本的に良性腫瘍ですが、嚢腫が5〜6cm近くになると茎捻転(子宮とつながる部分がねじれてしまうこと)を起こすことがあります。激しい下腹痛が出現し、緊急手術が必要です。手術で捻転が改善できれば卵巣機能は回復しますが、完全にねじれると卵巣に血液が届かなくなり、壊死してしまいます。
このほか、サラサラした水分がたまっているものを漿液性腺腫、ネバネバした粘液がたまっているものを粘液性腺腫といいます。いずれも良性腫瘍で、自覚症状がほとんどなく、婦人科検診などで発見されることがあります。
卵巣嚢腫が見つかっても、必ずしも治療が必要とは限りません。良性で痛みなどの症状がない場合は、経過観察することがあります。ただし、定期的な検診は欠かさないようにしましょう。